「子どもがぜんぜん言うことを聞いてくれない…」
「なめられないようにするにはどうしたらいいんだろう…?」
「ついつい威圧して言うことを聞かせてしまっているんだけど、いいのかな…?」
こんなことでお悩みの保育士さんはいませんか?
特に、保育士になったばかりの新人保育士さんに多い悩みかなと思います。
今回はそのお悩みを解決するために、
- 子どもになめられる保育士とは…その特徴や原因
- 保育士が子どもになめられないようにするには
- 子どもになめられる保育士がやめた方がいい行動
について解説していきたいと思います。
しかし、その前にひとつ考えておきたいことがあります。
そもそも、「子どもになめられる」とはなんなのでしょうか。
- 子どもが言うことをきかないこと?
- その人がくると、子どもたちが好き放題してしまうこと?
子どもとは本来、大人の言うことなんて聞きたくありません。
好き放題したいものです。
俗にいう「子どもになめられている保育士」というのは、ある意味「子ども本来の姿を引き出せている」とも言えます。
そこに保育の専門性が加わることで子どもとの間に信頼関係ができ、子どもたちが
「この人が言うならそうするか」
「この人が言うならきっとそうした方がいいに違いない」
と感じることで、しだいに行動が落ち着いてきます。
集団生活ができるくらいに自律してくるのです。
今回の記事での「子どもになめられる保育士」というのは、一般的な「子どもに言うことを聞かせられない、ダメな保育士」という意味ではありません。
「子ども本来の姿は引き出せているけれど、まだ保育の専門性がなく、望ましい方向に導くことができていない保育士」という意味で使いたいと思います。
こんにちは♪現役保育士のめるるです。
保育現場に15年勤めています。
一緒にはたらいた保育士の中には「子どもになめられないために」って、大きな声で怒鳴ったり、怖い雰囲気で言うことを聞かせている人もいたけれど…
私はそういう保育は好きではありません。
きちんと信頼関係を築いて、子どもたちと楽しくすごしていきたいですね。
子どもになめられる保育士とは…その特徴や原因
「子どもになめられる保育士」ということばを耳にすることがあります。
では、子どもになめられる保育士とは具体的にはどのような保育士のことなのでしょうか。
その特徴やなぜなめられるのか…原因を考えてみたいと思います。
子どもの言いなり
保育園ですごしていると、子どもが「あれして!」「これはいや!」と言うことがよくあります。
このようなことを言われた時に、すべてそのまま聞いてしまっている保育士がいます。
子どもの思いを受け止めて寄り添うことはとても大切です。
しかし、「子どもの思いを受け止めること=言うことをすべて聞く」ではありません。
それでは「ただの都合のよい大人」です。
子どもの表面の言うことだけに耳を傾けるのではなく、そのことばの奥底にある本当の欲求や困り感に気付いて対処できるように、広い視野を持ちましょう。
自信のなさが出ている
子どもは自信がない保育士に対して、話を聞かなかったり悪態をついたりすることがあります。
保育士の自信がないというのは、おどおどしていたり声が小さかったりする様子から子どもたちは見抜きます。
自信がない保育士を目の前にすると「好き放題しても怒られないぞ」と感じ、子どもは保育士の言うことをきかなくなります。
本当は自信がなかったとしても、子どもの前ではしっかりとおなかから声を出し、堂々とした態度でいましょう。
保育がうまくできていない
保育がうまくできていない保育士も子どもになめられやすいです。
保育の計画をうまくたてられなかったり、準備が不足してしまったり。
そうして活動がスムーズに進まずあたふたしている保育士の姿をみて、子どもたちはしらけた気持ちになり、話を聞かなかったり無視したりすることもあります。
保育の準備はしっかりし、不測の事態にも落ち着いて対応できるこころの余裕を持ち、活動に臨みましょう。
やさしいだけ
いけないことをした子どもに注意や指導ができない保育士もいます。
経験が浅い保育士や気が弱い保育士、自信がない保育士に多いです。
いけないことをした時、子どもたちなりに「いけないことをした」という認識があります。
それでも注意や指導がないと「自分を見てもらえてない」と感じ、信頼関係を築くことが難しくなります。
子どもには「成長したい欲求」というものがあるからです。
信頼関係がない大人の言うことを子どもは聞きません。
頭ごなしに叱る必要はありませんが、気持ちを受け止めた上で「次はどうしたらいいかな?」など、適切な方向へ導いていく関わりをするとよいでしょう。
若い・新しい人
若い保育士や新しくやってきた保育士がいると、子どもたちは興味津々です。
保育士側もきたばかりで園に慣れていないうちは、ずっと園にいる保育士なら叱るような行動をした子どもにも優しく丁寧に関わろうとするでしょう。
また来たばかりで園のルールがわからないこともあります。
大きいクラスになると、子どもたちの方が園についてくわしいこともあるでしょう。
そうなると、慣れていない保育士が子どもたちに園のルールを教えてもらう時に下手に出るような態度になることがあります。
子どもはいけないことをしても叱らない保育士や下手に出る保育士のことを下に見ることがよくあります。
子どもの前に立つ前に、ある程度園のことについて先輩に尋ねるようにしましょう。
また子どもたちは、若かったり新しい保育士でも堂々としている保育士のことはなめたりしないので、自分の態度や立ち振る舞いについても振り返ってみましょう。
保育士の中で下の立場
クラス内や園内での保育士同士の関係性というのは、保育士同士の会話の言葉遣いや態度などで子どもたちもなんとなく察します。
とくに子どもが目の前で保育士が先輩や上司に叱られている様子を見てしまうと、「この先生はあの先生より立場が下なんだ」と思い、子どもたちも叱られている保育士のことを下にみてしまうことがあります。
先輩に叱られないように気をつけることも必要ですが、子どもの前で後輩を叱る先輩にも問題があります。
あまりにも続くようなら、一度上司に相談してみてもいいかもしれませんね。
保育士が子どもになめられないようにするには
保育士が子どもたちになめられないようにするには、信頼関係がとても大切になってきます。
「この人は自分のことを受け止めてくれる。正しい方向に導いてくれる。」そんな信頼関係が必要です。
では、信頼関係を築き、なめられないようにするにはどのようにしたらよいか、順番に見ていきましょう。
子どもとしっかりあそぶ
子どもはたくさんあそんでくれる人が好きです。
特に、真剣にあそんでくれる人。
勝負ごとでわざと負けて子どもの機嫌をとるのではなく、本気で目線を合わせることができればなおよしです。
経験が浅くてまだ保育のスキルがない…という人は、まずはあそびの中から信頼関係を築いていくといいでしょう。
また、あそびの中でスキンシップをたくさんとると、より安心感を持ってくれます。
子どもを受け止め、認める
子どもが大人を一番信頼する時は、自分を受け止めてもらった時です。
まだまだ小さい子どもです。
時にはわがままをいったり、言うことを聞かない時もあるでしょう。
そのような時に、無理矢理言うことを聞かせるのではなく、一度子どもの気持ちを受け止めてあげてください。
例えば、活動に参加したくない子どもがいた時。
「そうか、今はこれをしたくないんだね。」
まずは気持ちを受け止めます。
そして、ここからが保育のプロの腕のみせどころです。
あの手この手を使って、子どもの気持ちを活動に向けてあげてください。
このような関わりを続けることで、「この人は気持ちを受け止めてくれる。それに最後にはきちんと望ましい方向に導いてくれる。」と信頼してくれるようになるでしょう。
メリハリをつけ、線引きをする
子どもと一緒にあそびすごす中で、一線を引くことはとても大切です。
子どもに気に入られたいから、仲良くなりたいからと、何でも言いなりになったりご機嫌をとったりすると子どもは敏感に感じ取り、その保育士の事は信頼しなくなります。
いけないことはいけないと言う。
あの子にダメと言ったことは他の子にもダメですし、この子によいと言ったことは他の子にもよいとするなど、軸がぶれないようにしましょう。
軸がしっかりして線引きができていれば、「これはだめだよ」と言われても一貫性があるので子どもも納得しやすいのです。
保育の計画をしっかり立てる
子どもは楽しいことをしてくれる人が大好きです。
流れるような保育、子どもが夢中になれるような活動ができると、自然と子どもたちはその先生と一緒に何かをすることを好きになります。
しかしたくさんの子どもがいる中での活動はうまくいかないこともあるでしょう。
活動がうまく流れずに滞ってしまうと、子どもたちは冷めてしまいます。
そんな時に大切になってくるのが、保育の計画をしっかり立てることです。
「子どもがこんな様子になったらこうしよう。」「こんな流れになったらこうしよう。」といろんなパターンを考えておくと、さまざまな状況に対応できてよいですね。
また、動いてばかり、イスに座ってばかりの活動では、子どもの欲求をうまく発散させてあげられません。
静と動の活動をバランスよく織り交ぜて保育計画をたてるとよいでしょう。
保護者との関係を築く
子どもは、家庭で保護者がほめたり肯定的な話をしている保育士のことを「お母さんが『いい先生』って言っているから、あの先生はいい先生なんだ!」と感じることがあります。
また、保護者と保育士のやり取りを近くで見ることで、保護者が保育士を信頼しているかどうかを子どもなりに感じるでしょう。
保護者が信頼を寄せている保育士のことは子どもも信頼し、なめられなくなります。
子どもだけでなく、保護者ともきちんと向き合うことが大切です。
挨拶は笑顔ではきはきと。
直接話をしたり連絡帳でやり取りをして信頼関係を作っていきましょう。
子どもになめられる保育士がやめた方がいい行動
今度は反対に、絶対にしてはいけない関わり方です。
これらの関わり方をすると一時は恐怖から言うことを聞くかもしれませんが、どんどん子どもの心は離れていってしまいます。
そして最終的には信頼関係がなくなり、言うことを聞かなくなっていってしまいます。
怒鳴ったり感情的に怒ったりする
保育士が怒鳴ったり怒ったりすると、恐怖から子どもは一時的には言うことを聞くようになるかもしれません。
自分よりもはるかに大きくて強い人間が怒鳴るなんて恐怖でしかないですから。
しかし、怒られないようにするためにおとなしくなったとしても、それは保育ではありません。
怒鳴られたり怒られたりすることで、子どもは自己肯定感や自尊心が傷つきます。
そんな対応をする保育士に対して、信頼関係どころか、子どもはどんどんこころを閉ざしていってしまいます。
子どもがいけないことをしてしまって注意をしなくてはいけない場面でも、大きな声でしかるのではなく、静かな場所で、1対1で落ち着いて話をしましょう。
子どもがいけないことをしてしまった時に1番大切なのは、「何が悪かったのか」を自分で考え、次に同じ行動をしないようになることです。
威圧し委縮させる
怒鳴ったり怒らないにしても、怖い顔でにらんだり厳しい口調で話したりして威圧することでも子どもたちは一時的にはおとなしくなるかもしれません。
威圧的な態度をとる保育士に対して、子どもは不安感や恐怖心を感じます。
恐怖心からおとなしくなると、子どもたちは安心して生活を送ることができず、心身の健康によくない影響を与えてしまいます。
保育のプロとして、子どもたちには朗らかに関わり、安心して園生活を送ることができるように努めましょう。
子どもを否定する
子どもの行動や発言を否定して言うことを聞かせるということも絶対にしてはいけません。
「あー!○○くん、こんなことしてる~!だめなのになー」と他の子どもにも聞こえるようにその子の行動を否定的に言う。
保護者から離れた場所で、本来頼るべき保育士にこんなことを言われると、子どもはどうしていいかわからなくなります。
「保育士に注意をされないように」という思いばかりが強くなり、行動の基準が「保育士に注意をされないか、否定されないかどうか」になってしまいます。
これでは、本来育ってほしい規範意識やモラルが育ちません。
子どもが望ましくない行動をしたのなら、やさしく「そうじゃなくて、こうしたらいいかもしれないよ」と声をかけましょう。
条件付きの愛情
子どもには無償の愛が必要です。
「どんなあなたも全部大好きだよ」
そんな大きな愛情の中で、子どもは安心して健やかに育つことができます。
「○○できる子が好きだな」「~できないなんて、そんな子いやだわ」と条件をつけて好き嫌いを言われると、好かれるために、嫌われないために…と考えて行動する子どもになってしまいます。
保育のプロとして子どもの前に立つならば、どの子も、どんなことをしても、子どもの全てを受け入れられるような大きなこころを愛情を持つように努めましょう。
子どもになめられる保育士 まとめ
子どもになめられる保育士について、いかがだってしょうか。
- 子どもになめられる保育士とは…その特徴や原因
- 保育士が子どもになめられないようにするには
- 子どもになめられる保育士がやめた方がいい行動
今回は以上について説明してきました。
はじめにもお話ししましたが、なめられることそのものがだめなわけではありません。
見る角度を変えると、子どもがのびのびとできているともとれます。
恐怖で言うことを聞かせている保育士よりはずっとましです。
そこに保育の専門性を身に着けていき、「子どもの自由な姿」だけで終わるのではなく、信頼関係の上にできる自律心を育てられる保育士を目指していきましょう。
あなたの今の職場はどうですか?
怒鳴って威圧して言うことを聞かせられる保育士がよいとされていませんか?
子どもらしいのびのびした姿を否定するような同僚はいませんか?
もしそんな場所にいるのなら、あなたはずっと怒鳴って威圧していかなければなりません。
子どもはずっと委縮してしまうことでしょう。
世の中には子どもがのびのびしている園、子どもとの信頼関係を大切にしている保育士がたくさんいる園もあります。
今お勤めの園の保育観が「なんか違うな…」と感じるのであれば、他の園を探してみるのもいいかもしれません。
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