「ハードな仕事なのにお給料が少ない…」
「人間関係が悪くてつらい…」
「保育士をやめたいけど、引き留められそうで心配…」
こんなことでお悩みの保育士さんは多いのではないでしょうか。
なりたい職業ランキングの上位にも入る保育士。
子どもが好きで保育に携わりたいという思いがあったにも関わらず、厳しい労働環境をつらく感じ退職を考える保育士も少なくありません。
そこで今回は、
- 保育士の退職理由にはどんなものがある?
- 保育士の職場への退職理由の伝え方
- 保育士が退職理由を伝える時に引き留められないために
の3つについてお話ししていきたいと思います。
ぜひ自分の状況と比べながら読んでみてくださいね。
こんにちは♪現役保育士のめるるです。
15年以上保育の現場ではたらいています。
保育を楽しく感じることも多いのですが、つらいことがないかと言えばそうでもありません。
保育士を取り巻く環境は年々厳しくなる傾向にあります。
世の中の保育士さんはどのようなことをつらいと感じて退職していくのかを考えてみたいと思います。
保育士の退職理由にはどんなものがある?
保育士不足が叫ばれる昨今、保育士の離職が問題になっています。
では、保育士の退職理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
このグラフによると、保育士の退職理由の上位には「給料が安い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」などの労働環境の悪さがあがっています。
そして「職場の人間関係」「他業種への興味」「職業適性に対する不安」が続いています。
では、保育士の離職理由の上位7つについて順番にみていきましょう。
給料が安い
保育士の退職理由の1位は、「給料が安い」でした。
保育士の中でも公立の保育園に勤める保育士は公務員としての給料なので、そこまで悪くありません。
「人事行政の運営等の状況の公表」によると、東京都の保育士の平均年収は約682万円となり、全職種の平均年収を上回ったものになります。
一方で、民間ではたらく保育士の給料はあまりよくはありません。
その理由は、民間保育園の収入源が国や都道府県からの補助金と、保護者が支払う保育料の2つから成り立っていることです。
認可保育園は基本的に福祉施設であるためその収入を保育園側が決められるわけではなく、園児の数によって政府が決定している金額が政府から園に支払われているのです。
税金でまかなう施設のため多くの利益が出る補助金は設定されておらず、保育士の給料も低くなってしまうというわけなのです。
子どもの命を預かる責任の重いしごとですが給料がそれに見合わないということで、給料を理由に退職する保育士が多いのですね。
仕事量が多い
「仕事量が多い」が保育士の退職理由の2つめです。
なぜ保育士は仕事量が多いのでしょうか。
書類の負担
保育をするのあたっての書類はたくさんあります。
クラスだより、連絡帳、月案、週案、子どもの記録、行事計画書…数えればきりがありません。
クラスだよりや連絡帳も近年ではパソコンで作成することも増えてきましたが、「手書きの方があたたかみがある」という理由から手書きで書くように言われている園もあり、書類に膨大な時間がかかってしまうのです。
準備物が多い
保育には手作りのものが多いです。
製作準備、手作りおもちゃ、発表会の衣装…。
保育園は学校のように決まったカリキュラムがあるわけではなく、子どもに合わせた保育が求められます。
子どもに合わせた保育を行うためには準備物も子どもに合わせたものが必要で、どうしても市販のものではなく手作りになってしまいます。
手作りをするためには、なにを作るのか考えるところから始まり、材料の購入、作る作業、壊れた時には修理をする時間がかかってしまうのです。
保護者対応
保護者対応に悩む保育士も多いです。
対応の仕方にも悩みますが、それにかかる時間を負担に感じる保育士も少なくありません。
中には毎日のように担任と話をしたがる保護者がいたり、クレームを伝えるために何時間も話をする保護者もいます。
保護者対応も大切な仕事のひとつです。
しかし、ただでさえ時間に追われている保育士にとって、保護者対応にあまりにも多くの時間をとられてしまうと、大きな負担に感じてしまうこともあります。
労働時間が長い
保育士の長時間労働が問題になってきています。
まずは、「勤務時間=子どもをみる時間」とされている園がまだまだ多いことが原因の1つに挙げられます。
保育士の1番の仕事は子どもをみることです。
しかしそれだけではありません。
保育の準備、書類作成、保護者対応、そうじ、おもちゃの消毒…。
挙げればきりがありません。
しかし、そういった子どもをみる以外の仕事をする時間をきちんととっている保育園は多くはありません。
午睡時間に子どものブレスチェックをしながら、それらの作業を行います。
おねしょをする子どもがいれば対応しなくてはいけませんし、午睡時間に会議や休憩もまわします。
午睡時間に全ての仕事を終えることは難しく、終わらない仕事は残業や持ち帰りになってしまい、保育士の労働時間が長くなってしまうのです。
職場の人間関係
保育士どうしの人間関係は少し独特なところがあります。
同性が多く、閉鎖的な環境
保育園は同性が多く、閉鎖的な環境になってしまいがちです。
また、職員数も数人から十数人程度の少人数の職場であることが多く、ほぼ全員が同業種であるため閉鎖的な空間になってしまいがちです。
そんな中での人間関係は複雑になってしまい、居心地がよくないと感じる人もいるようです。
人手不足で一人ひとりの負担が大きい
作業をする時間も十分にない中、多くの業務をこなさなくてはならない保育士。
近年では人手不足もあり、保育士一人ひとりの負担がさらに増えてきています。
残業や持ち帰りによる長時間労働もあり、気持ちに余裕がなくなり、まわりを気遣うことができなくなって人間関係がギスギスしてしまうこともあるようです。
責任の重さからくるプレッシャー
子どもの命を預かるということは、とても大きな責任を負うということです。
なんでも口に入れてしまったり、ひとりでどこかへ行ってしまったりする可能性がある乳幼児の安全を確保するために常に気を張ってしまいがちです。
また子どもの安全を守るため、後輩への指導もどうしても厳しくなってしまうことがあります。
すると後輩は先輩の顔色をうかがう状況になってしまいがちです。
他業種への興味
過酷な労働環境で給料も少ないことから、保育の仕事から離れたいと思う保育士も少なくないようです。
労働環境が悪い職場ではたらいていると、労働環境がよい職種を求め他業種への興味が出てきてしまいます。
今後のライフプランも考え、職種自体を変えたいと思うこともあるでしょう。
職業適性に対する不安
うまく保育ができなかったり、他の保育士と比べて自分のダメなところばかりが気になったりして、「自分は保育士に向いていない」と感じる保育士もいるようです。
特に保育士になりたての時は、うまく保育ができず悩むことが多いです。
そんな時にまわりに相談できる人がいなければ、悩みはどんどん深くなり、退職を選んでしまうこともあるようです。
保護者対応の大変さ
仕事量の多さの理由に保護者対応が入っていましたが、保護者対応は仕事量が増えるだけではなく、保育士の気持ちにも大きな負担をかけてしまう場合があるのです。
保護者との価値観や感覚の違いや対応のミスから、話がこじれて修復できないほど関係が悪くなることがあるかもしれません。
本来は協力して子どもの成長を支えるはずの保護者と保育士の関係が悪くなってしまうと、保護者対応を負担に感じてしまうこともあります。
保育士の職場への退職理由の伝え方
職場に退職の話をする時には、円満に退職できるように伝え方に気をつけましょう。
ではどのようなことを気をつければよいか、順番にみていきます。
なるべく年度末の退職を意識する
特別な理由がなければ、なるべく年度末に退職するようにしましょう。
年度単位で動いている保育園。
年度途中で保育士が退職してしまうと、子どもや保護者を不安にさせてしまったり、同僚に負担を与えてしまいます。
また年度途中で退職してしまうと、次の就職に影響が出ることがあるので気をつけましょう。
できるだけ年度末に退職をするようにしましょう。
かといって、絶対に年度途中で退職してはいけないということではありません。
法律では2週間前に申し出れば、退職できることになっています。
体調不良やメンタル不調の時には無理はせず、自分の体を大事にしましょう。
退職理由はポジティブに言いかえて
退職理由が本当は「給料の安さ」や「人間関係が悪い」などのネガティブなものだとしても、伝える時はそのまま伝えるのはよくありません。
ネガティブな理由をそのまま伝えると、退職までの期間を気まずい雰囲気の中ですごさなくてはいけなくなったり、「改善するから」といって引き留められたりするなど、円満退職できない場合があります。
退職理由はなるべくポジティブに伝え、「これは引き留めることができないな」と思ってもらうことでスムーズな円満退職につながります。
伝えるのにおすすめな退職理由
では、上司に退職理由を伝える時に、具体的にはどのように伝えればよいのでしょうか。
はたらき方のスタイルが異なる職場に興味がでた
本当の退職理由が「給料が安い」だったら、「今の園では保育士間での競争がなく安心してはたらくことができていたが、しだいに自分の仕事への評価がはっきりとわかる場所に挑戦したくなった」。
ひとりで多くの子どもを見ることに疲れたのなら、「こちらの園では大勢の子どもと一度に関わることを勉強させていただいたが、一人ひとりと丁寧に関わることができる保育がしたくなった」。
など、今の園の嫌なところを伝えるのではなく、今後どのような場所ではたらいてみたいかをポジティブに伝えると、印象も悪くならずに話をすることができるでしょう。
キャリアアップのため
「他の職種に挑戦したい」「キャリアアップを目指している」などの理由だと、引き留めることが難しくなり、またポジティブな印象になります。
漠然とした理由だと引き留められやすいですが、はっきりとした目標があるのなら、むしろ応援してもらいながら円満に退職できるでしょう。
保育士が退職理由を伝える時に引き留められないために
人手不足な保育士が退職を申し出ると、引き留められることがよくあります。
引き留められることで退職の時期が遅くなってしまうと、その先の生活に影響がでることがあるかもしれません。
上手に話をし、スムーズに退職できるようにしましょう。
強い気持ちを持って言い切る
上司に退職の話をする時に、「相談」という形ではなく「報告」というようにしましょう。
相談だと、不満な点を改善を提案されたり励まされたりして、引き留められてしまうことが多いです。
一度引き留められてしまうと気持ちが揺らいでしまうこともあるので、最初から引き留められないような言い方で退職の意向を伝えましょう。
次の就職先を決めておく
「次の就職先が決まっている」と言われると、上司としても引き留めることは難しいでしょう。
ただし嘘はよくないので、本当に就職先を決めておく必要があります。
在職中の転職活動は負担も大きいので、しっかり計画をたてて転職活動をすることが大切です。
環境の変化を理由にする
生活環境の変化を退職理由に伝えると、引き留められにくくおすすめです。
- 子どもが進学し、なるべく一緒にいてあげたい。
- 結婚をして家庭に入りたい。
- 引っ越しをし、今の職場には通いにくくなった。
- 資格を取るための時間がほしい
- 体調がよくない
など、自分の環境が変化したことによる退職ならば、ネガティブな印象にもならず、引き留めにも合いにくいです。
ただしやはり嘘はよくないので、事実を上司に納得してもらえるような言い方で伝えることがポイントです。
保育士の退職理由 まとめ
保育士の退職理由について、いかがだったでしょうか。
今回は
- 保育士の退職理由にはどんなものがある?
- 保育士の職場への退職理由の伝え方
- 保育士が退職理由を伝える時に引き留められないために
についてみてきました。
保育士の退職理由の中には工夫次第で解決できるものもありますが、個人の力ではどうしようもないものもありました。
世の中には今の職場よりも自分に合う場所はたくさんあります。
今いる職場が合わないなと感じたら、他の場所を探してみるのもひとつの方法です。
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利用は無料なので気軽に相談してみると、気持ちが軽くなるかもしれませんよ。