「おなじクラスの保育士とうまくいかない…」
「やることがたくさんありすぎて毎日残業…」
「こんなに大変なのにお給料はすくない…」
こんなことに悩んでいる保育士さんは多いかもしれません。
保育士さんが大変だと感じていることはこの3つ。
- 人間関係
- 業務量や業務内容
- 待遇
これらははたらく園によって大きく異なります。
また、なにを大変と感じるかは保育士さんによってもちがいます。
今回は、多くの保育士さんが大変だと感じていることについて考えていきます。
この記事を読んで、自分は何が大変かなと考えてみてくださいね。
こんにちは!現役保育士のめるるです♪
保育現場で15年以上はたらいています。
この15年の間にいくつかの園につとめてきましたが、はたらく中で大変なことは園によって全然違いました。
「自分は何を大変だと感じるか」
それをしっかりみつめることで、これからどうしていきたいかが見えてきますよ。
保育士が感じる大変なこと -人間関係ー
保育士の退職理由ランキングで上位になることが多い「人間関係」。
ひとくちに人間関係といっても、保育園ではたらく中にはさまざまな関係があります。
大きくわけるとこの3つ。
- 職員同士の人間関係
- 保護者との人間関係
- 子どもとの人間関係
それぞれの人間関係がどのように大変なのか、順番にみていきましょう。
職員同士での人間関係
職員にもさまざまな関係性があります。
- 同期
- 先輩
- 主任・園長などの上司
かかわる相手によって悩みは異なってきます。
それぞれどのような悩みがあるのかみてみましょう。
同期との関係
同期がいない
そもそも同期の保育士がいない場合があります。
小規模の園に多いですね。
同じ目線で協力したり励まし合ったりできる同期がいないと、慣れるまではさみしさを感じることもあるでしょう。
比べてしまう
一方で、同期がいるからこその悩みもあります。
保育士さんはひとり一人得意なことや苦手なことは違います。
わかってはいながらも同期がうまく保育をしているところをみると、「自分はダメだな…」と落ち込んでしまうこともあります。
先輩との関係
言いかたがきつい
先輩の中には言い方がきつい人もいます。
自分のために言ってくれているとはわかってはいながらも、きつく言われると落ち込みますよね。
先輩から声をかけられるたびにびくびくしてしまう人もいるのではないでしょうか。
気分やイライラをぶつけられる
先輩も人間なので、気分のいい時もあればイライラしている時もあります。
しかし、仕事と関係のない部分でイライラしている場合や、性格的に気分にムラがある場合など、自分の力ではどうしようもないところに気をつかうのは疲れますよね。
仕事をおしつけられる
ひとりあたりのしごと量が多い保育士の世界。
ただでさえ自分の仕事でいっぱいなのに、先輩から雑用を押しつけられることも…。
たしかに先輩は後輩ができないしごとをかかえていることもあるでしょう。
しかし後輩は後輩で、自分のしごとでせいいっぱいです。
そこに先輩のしごとがくわわると大変ですよね。
先輩に言われたら断れずにパンクしてしまう人もいるかもしれませんね。
主任・園長などの上司との関係
保育観がちがう
面接や説明会など入職する前に、園のおおまか方針の話があることがほとんどです。
しかし、具体的なこまかい保育のやり方や、主任・園長の個人的な保育観まで聞くことはむつかしいでしょう。
おおまかな方針には納得して入職したけれど、実際に働いてみたらこまかいところが思っていたものとちがったり、主任や園長の個人的な保育観で指摘をされたりすることもあります。
園の方針に納得してはいったつもりなのに、入職してから違うことを言われると困ってしまいますよね。
自分の考えを伝えにくい
上司と保育観がちがう時でも、「私は教えてもらう立場だから…」と自分の考えを伝えられないことがあります。
いそがしい上司や雰囲気がこわい上司だとなおさら伝えにくくなります。
考えを伝えにくい上司とはうまくいかないことがよくあり、ストレスになることも。
保護者との関係
保護者の中にはいろいろな人がいます。
いい人もたくさんいます。
しかし、中にはわが子を大切に思うあまりまわりが見えなくなり、トラブルが発生してしまうことがあります。
保護者との関係でうまくいかなくなるのはこのような場合です。
- 若い保育士にきびしい保護者
- 前の担任と比べる保護者
- よくけがやけんかをする子どもの保護者
- クレームをよくいう保護者
順番にみていきましょう。
若い保育士にきびしい保護者
若い保育士にきびしい保護者は一定数います。
特に新卒の保育士に対するあたりはなかなかきついこともあります。
先輩や上司に相談してから保護者に伝えたことでも納得してもらえず、同じ内容でも先輩や上司が出てきたとたんに納得する保護者もいます。
前の担任と比べる保護者
前の担任と仲が良かった保護者に多いです。
前の担任とは仲がよかった分、新しい担任に気持ちを切りかえづらいのです。
ことあるごとに「去年は~してくれてたけど…」去年と比べられたり…。
保護者と向き合って話をすることができないので、子どものことを話し合うことも難しくなってしまいます。
よくけがやけんかをする子どもの保護者
大切な自分の子どもがけがやけんかをするのをこころよく思う保護者はいません。
とはいえ、たいていの保護者は1・2回なら「そういうこともある」と怒ったりはしません。
しかしそれが頻繁に続くと、保護者は敏感になってきます。
どんなに防いでもけがやけんかをよくしてしまう子どもがいることも事実ですが、それが続くと「きちんとみていなかったんじゃないか」と思ってしまうのが親心。
いちど保育士に疑問を持ってしまうと、それをとりはらうことはなかなかむつかしいものです。
クレームをよくいう保護者
たくさんいるわけではありませんが、中には要求や指摘が度をこしてしまう保護者もいます。
保育士に無理難題をつきつける、ぞくにいうモンスターペアレンツのような保護者がいることもあります。
このような保護者に対応する時は気をつかい、疲れたりストレスを感じたりしてしまいます。
子どもとの関係
子どももさまざまな子がいます。
子どもが好きで保育士になったはずなのに、子どもとうまく関われずに悩んでしまう人もいます。
- 子どもどうしのけんかにうまく対応できない
- 保育士の話を聞いてくれない
- 活動に参加しない子がいる
など、経験が浅い保育士ほど子どもとうまく関われずに戸惑ってしまうかもしれません。
保育士が感じる大変なこと -業務量や業務内容ー
「保育士の仕事は子どもとあそぶだけ」と言われることもありますが、もちろんそんなことはありません。
事務仕事や環境整備、子どもが遊んでいる時には子どもの安全確保に努めるなど、さまざまな業務をこなしています。
むしろハードワークなくらいです。
保育士さんが業務の中で大変と感じていることはこの4つ。
- 責任が重い
- 業務量が多いのに、作業時間がない
- 広く深い知識が必要
- 体力が必要
どのように大変と感じているのかみていきましょう。
責任が重い
子どもを預かるということは、子どもの命と未来を預かっているということです。
保育園は安全にとても配慮していますが、それでもケガや事故が起こる可能性はゼロではありません。
- 散歩で車がつっこんでこないか
- 給食でのどにつまらせないか
- 午睡中に息がとまってしまわないか
子どもと楽しくすごしているように見える保育士は、子どもたちに危険がないか常に気をはっています。
また、小さな子どもをあずかる保育士は、子どもたちの未来にも大きな影響を与えるとされています。
文部科学省がさだめる幼稚園教育要領にはこのように書かれています。
「幼児期における教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり…」
これは幼稚園のことをかいたものではありますが、幼児期の子どもをあずかるのは保育園も同じです。
保育士たちも子どもの未来がよりよいものになるように願いながら保育を行っています。
このようにとてもすばらしい職業ですが、少ない保育士でたくさんの子どもたちの安全を守り、よりよい成長の支えになろうと思うと、それを負担に感じることもあります。
業務量が多いのに、作業時間がない
はたらき方改革に取り組んでいる園はノンコンタクトタイムを導入したり、かわりの保育士が保育に入り事務作業の時間が確保できるかもしれません
しかし昔ながらの園は、基本的に勤務時間は子どもをみる時間。
事務作業は子どもが午睡をしている時にしかできない園もまだまだ多くあります。
仕事はたくさんあるのにこなすための時間がないと仕事が終わらないですよね。
さらに業務量は年々増えています。
たとえば、コロナ禍での消毒や検温。
連絡なしで登園していない家庭への連絡。
他にも保護者からの要望で、行事や保育内容もむかしに比べて増えている園が多いです。
保育業界の傾向として、仕事を増やすことは比較的すぐにできますが、仕事を減らすことには消極的なことが多いです。
行事を減らすと保護者からのクレームがあったり、ベテランになればなるほど今までしてきたことを変えることに抵抗のあったりして、保育士の仕事はどんどん増えていきます。
それに対して作業時間が増えるわけではないので、業務量を負担に感じる保育士さんがいてもおかしくないですね。
広く深い知識が必要
子どもの成長を支えるプロとして、広く深い知識が保育士には求められます。
保育士の仕事は子どもとあそんだりお世話をしたりするだけではありません。
子どもたちの成長に合わせたかかわりや環境設定、あそびの提供をするために、幅広い知識が求められます。
子どものあそびはとても幅が広く、保育の専門的な知識はもちろん必要です。
それ以外にも、「冬、外に水をおいておき、氷を作るにはどうしたらいいか」「野菜を育てる時にどのようなことに気をつけたらいいか」など、いわゆる保育の専門知識ではない知識も必要になってきます。
好奇心旺盛な子どもの質問や疑問に答えるために、豊富な知識が求められます。
また、昨今話題になっている不適切保育や支援が必要な子どもへの対応など、保育の考え方や対応法など時代とともに変化していくこともたくさんあります。
いちど保育士資格をとったからそれでおしまい…ではなく、常にあたらしい学びがもとめられます。
それを大変だと感じる保育士さんもいるかもしれません。
体力が必要
知識だけでなく、体力も重要です。
日々子どもたちと体を動かしてあそんだり、だっこしたりと体力が必要です。
また女性が多い職業なので、力仕事も女性の保育士たちで分担しなくてはいけない場面もあります。
若いうちはいいですが、年齢とともに体力がもたなくなりつらいと感じることがあるかもしれません。
保育士が感じる大変なこと -待遇ー
待遇面に不満を感じている保育士も少なくないです。
年収が低い
保育士の平均年収は380万円ほどとされています。
日本全体の平均年入の440万円程度と比べて、保育士の平均年収は低い傾向にあります。
保育士はパートなどの非正規雇用という働きかたをえらぶ人も多いので、保育士全体の平均年収が低くなってしまうという理由もあります。
しかし、パートの時給をみても、スーパーのレジ打ちなど他のパートの時給と比べても低いこともよくあるようです。
保育士の収入が低い別の理由としては、保育士の給料は補助金からまかなわれていることがほとんどです。
そのため、保育園が努力をして大きく稼いで保育士の収入をあげる…ということがむつかしいのです。
また、2000年以前は「人件費として交付されたお金は人件費に使う」という使用制限がありましたが、現在は人件費として交付されたお金を別の用途で使用することが認められている「委託費の弾力運用」という制度になっていることが、保育士の収入を低くする原因の大きな要因になっています。
ハードワークなのにお給料が少ない…と不満に思う保育士さんも少なくないです。
休けいがとれない
保育士さんの中には休憩がとれないという人も多いのではないでしょうか。
園によってはしっかり休憩をとれるところもあります。
一方で、休憩をとれない園もまだまだ多いです。
まだまだ多くの園では、勤務時間=子どもを見る時間。
実際に子どもと関わる以外の事務作業などの仕事をする時間が確保されていないことも多いです。
となると、そういった仕事は子どもが眠っている午睡時間に行うことになります。
保育園の午睡時間は、長くて3時間弱。
クラスとしては2時間くらいを目安にしているところが多いですが、その中で給食を食べ、事務仕事をし、会議や掃除、その他雑務をこなさなくてはなりません。
しかもそれと並行して、午睡をしている子どもの見守りもしなくてはいけません。
途中で子どもが起きたりおねしょをした場合はその対処もしなくてはなりません。
休憩や作業などの時間を確保するために代わりの保育士が入るよゆうのある園では休憩がとれますが、人手不足の園ではなかなかそうもいきません。
残った仕事はサービス残業や持ち帰りになってしまうので、それならば休憩をとるよりも少しでも仕事を終わらせたいと考える保育士さんが多いようです。
休みがとりにくい
「休憩がとれない」と同じく、人手不足からやすみもとりにくいです。
やすみの保育士のかわりに保育にはいる人がいないのです。
保育園には「保育士1人がみることができる子どもの数(対人数)」が法律で決まっています。
しかし人手不足の園では保育士がやすみ代わりに入る保育士がいないと、法律で決まっている対人数を下まわることになってしまいます。
そうなると子どもの安全が確保できなかったり、監査でひっかかってしまったりするので、やすみがとりにくくなってしまうのです。
サービス残業や持ち帰りがある
仕事量が多いのに作業時間がない。
そうなると残業になってしまいますよね。
しかし、保育士が残業をすると残業代が発生してしまうので、残業を申請するといやな顔をする上司も中にはいます。
そういったことが続くと残業申請をすること自体がおっくうになり、サービス残業になってしまう保育士さんも多いのではないでしょうか。
また、残業自体を禁止されている園も中にはあるようです。
閉園後も残業で保育士がいると電気代がかかるから早く帰りなさい、ということもあるようです。
だからといって仕事がなくなるわけではないので、そうなると残った仕事は持ち帰るしかなくなってしまいます。
家庭があったり子どもがいる保育士さんには、勤務時間以外の時間を仕事に取られてしまうことを大変だと感じる人が多いです。
まとめ
保育士さんが大変だと感じることはこの3つ。
- 人間関係
- 業務量や業務内容
- 待遇
これらの中には、保育士さんが工夫したり協力すれば解決することもあるかもしれません。
しかし、園のルールだったり慣習をかえることはとても大変でたくさんの労力がかかります。
頑張ったからといって、これらの問題が解決するともかぎりません。
本来の保育のしごと以外に時間や労力をかけて消耗するよりも、自分が楽しく保育のしごとができる場所を探した方が早くて楽かもしれません。
しごとをする上でなにを大切にしたいか。
自分が輝ける場所はどこにあるか。
今保育がつらい保育士さんは、いちどじっくり考えてみてくださいね。